『赤線街路』 振り返り
皆様こんにちは。
いよいよ夏らしくなってきましたが、いかがお過ごしでしょうか?
さて、今回は夏とは全く関係ありませんが、『赤線街路~昭和33年の初雪~』という作品のレビューを書いていこうと思います。
そもそも赤線って何?という方も多いかも知れませんね。赤線とは1958年以前に政府公認で売春が行われていた地域を言います。つまり遊郭です。
赤線の他にも、非公認の青線や白線などどいった地域があったそうですが、ここでの説明は省かせて頂きます。
この作品を簡単に表すと、母を探して赤線街へとやってきた主人公の成長物語といったところでしょうか。
物語の序盤は主人公のあまりにお子様な言動にイライラさせられることもしばしばでしたが、話が進んでいくにつれてだんだんと自分の置かれている状況、そして周りの人々の想いに気がつくようになり、立派な大人へと成長していきます。
プレイヤー=主人公ではなく、プレイヤーはあくまで主人公を見守るという形になっているところがこの作品のひとつの特徴でもあるように思いました。
・個別ルートについて
この作品は共通ルートが大半を占めているので、せっかくそれぞれ個性的なヒロインが揃っているのに勿体無いと思ってしまいました。
~静枝~
物静かで面倒見の良い優しい女性です。
同性の私から見ても大変魅力的だと思ってしまいました。
一見何でも完璧にこなしてしまいそうな印象ですが、実は不器用というギャップがたまりません。
何でも一人で抱え込んでしまうタイプで、本人はそれをうまく隠しているつもりなのでしょうが周囲にはバレバレ。年下の楓香でさえも常に静枝さんを気にかけて心配しているという…。
そんな側にいて守ってあげたくなるような儚さも持ち合わせています。これ以上は強烈なネタバレになるので何も言いません。
~千尋~
この作品は静枝さんをやたらプッシュしているような感じが否めないですが、千尋さんも負けないくらい魅力的です。
大人の魅力をプンプン漂わせている強い女性、と見せかけて子供っぽいところもあったりします。だがそこがいい!
ちなみに、個人的には3人のヒロインの中で一番人間臭いような印象を受けました。
鳥籠シーン(挿入歌の「鳥籠に見た夢」が流れるシーン)でボロボロ泣いていたところなんかはグッときましたね。思わず一緒に泣いてしまいました…(T_T)
~楓香~
君は強い!いい子だ!!
3人の中では一番年下のくせに(と言っては失礼ですが)一番強くて真っ直ぐな少女です。
プレイした方の中には彼女の真っ直ぐさに胸を打たれた方も多いのではないでしょうか。
静枝さんをあんなに真剣に怒れるのは彼女しかいないです。
他の2人と違い、楓香は「何も知らない」。それゆえ素直に行動できるのだと思います。知識や経験があることが必ずしも良いということではない、そんなことを私たちプレイヤーに訴えかけてくるようなシナリオだったように思います。
メインヒロインたち以外でも、脇役の男キャラが非常に良い味を出していました。
卓さんはもちろん、平間さんの格好良さと言ったらもう…。
初めのうちはただのエロオヤジだと思っていましたが、今となっては土下座したいくらいです。本当にすみませんでした。
この作品はタイトル通り遊郭のお話なのですが、それに反してひたすら純粋で美しいストーリーとなっています。
ですので、寝とられなどを期待する方にはあまりおすすめできません…。
お客さんとの行為も全体を通して一度だけですしね。
ですが、古き良き昭和のノスタルジックな雰囲気が好きな方には全力でお勧めしたい作品です。古い言葉も辞書で解説してくれるので、赤線の歴史を知る読み物としてもGOOD!
元々遊郭建築が好きで赤線に興味を持っていた私にとっては、まさにドンピシャリな作品でした。街並みのグラフィックなんかもとても素敵でしたね。
埋もれているのが本当に、本当にもったいない!!
また、BGMの出来も非常に良かったです。
特に挿入歌の「鳥籠に見た夢」は、ゲームの内容抜きにしても生きる上での大切なことに気付かせてくれる名曲だと思います。
その他のBGMも奥行きのある素敵な曲ばかりで、サントラが付いていて本当に良かった…と思ったくらいです。
オープニングの「ドリームライダー」については、最初は作品の雰囲気とは正反対じゃないか!と思ってしまいましたが、クリア後に聴くと「ああ、なるほどな」という感じでした。
ちなみに修正パッチに関してですが、我が家のPC(Windows7 Home Premium)では適用しても意味がありませんでした。
まあOPムービーが反転すること以外特にプレイに支障はないのですが。
PCだけでなくDVD-PG版も出ているそうなので、興味を持たれた方は一度プレイしてみてはいかがでしょうか。
では、ここまでお読み頂きありがとうございました。
薬師るりミニアルバム 「STEP」~さいどすてっぷ主題歌集~
- アーティスト: 薬師るり
- 出版社/メーカー: あさがやドラム
- 発売日: 2008/09/18
- メディア: CD-ROM
- 購入: 1人 クリック: 7回
- この商品を含むブログ (1件) を見る